『作曲家・大村哲弥を偲ぶ会』
東京オペラシティ リサイタルホールで開催された『作曲家・大村哲弥を偲ぶ会』に参加してきました。去年8月に逝去されてからもう1年。早いものです。
会は、氏の代表作である『層的音楽』(ISCM世界音楽祭 及び モルドヴァの国際作曲コンクールに入選) などの室内楽作品演奏を中心に、生前最後の講義の映像、氏の師匠・姜碩煕氏や石田一志氏のスピーチ、ご家族の方のお話など、和やかな雰囲気の中で進められました。
印象的だったのは、プログラムに掲載されていた2006年当時の氏の手記。作曲修業時代について
強い劣等感に嘖まれ、一言で言うと辛かった。自分の非力を思い知らされるレッスンは地獄の時間。せめて人並みでいたいと毎日練習と課題をこなすのに精一杯で、週に数夜はいつも徹夜だった。自分の心の安定のためにいくつもの授業を聴講し、作曲関係の専門書に傾倒。自分で課題を見いだし、それをこなすしか手段はなかった。
というようなことが書かれており、なるほど、膨大な楽曲分析や言語学・認知心理学・脳科学などあらゆる分野を研究し、その成果を「理詰め」で作品に反映させる姿勢はこういう経験もあってかな、と思いました。
毎回時間を超過するほど熱心だった大学での授業やホームレッスン、雑談の時に時折見せる笑顔。いろいろなことが思い出されます。