『スティーヴ・ライヒ トークセッション』

『スティーヴ・ライヒ トークセッション』

国立音楽大学主催による「スティーヴ・ライヒ トークセッション」を聞きに、同大学講堂小ホールに行ってきました。一般公開で入場無料というのがうれしい。

イベントは、ライヒの「WTC 9/11」が作られた背景を作曲家自らが語り、その作品を全曲聴き、そして質疑応答に入る(この曲に限らない)、という流れ。どのような質問にも間髪入れずスパスパッと答えるライヒ氏の姿がかっこよかったです。

以下に質疑応答のいくつかを、記憶をたよりに書いてみます。

この作品は9.11のテロを題材にした作品ですが、日本で起きた3.11の震災を題材にした作品を書く予定はありますか?

ライヒ氏:「9.11は、ワールドトレードセンターの4ブロック先に私の親族が住んでいたということもあり、とてもプライベートな作品として書きました。 3.11の震災には私も心を痛めていますが、生活とは遠いところで起きたこと。3.11を題材に作品を書くのは私では無く、もっと身近に住んでいる方だと思います。」

あなたの作品の自作自演を聴いていると、クライマックスでも、ドラマチックというよりはとてもクールに演奏しているように思います。それは意図的ですか?

ライヒ氏:「私の作品はクラシックのスタイルで言えばバロックやそれ以前の時代のもの。ロマン派の作品ではありません!」(両手のひらをパッと左右に開き「以上!」っていう感じのジェスチャーをする)

日本ではボーカロイドと呼ばれる合成音声技術を使って作品を作るのが流行っているのですが、どう思いますか?

ライヒ氏:「私は作曲にSibeliusとReasonを使っていますが、音楽にあるのは “良いもの” か “悪いもの” かだけ。どのようなソフトを使っても良いと思います。大事なのは、どういう作品になるか、です。」

ご自身の作品がリミックスされることについて、どう思いますか?

ライヒ氏:「私の作品を使ってもらえることを光栄に思います。私はもう若くはありませんが、リミックスは若い人たちの文化だと思っています。どんどんやってもらってかまわない。」

他にも興味深いやりとりがいくつもありました。イベントは13:00~14:30までの1時間半で終了。 会場には作曲家の北爪道夫氏をはじめ、国立音大の関係者から一般の方まで、大勢が詰めかけていました。